11月23日(木・祝)に、「2023年、クィアの私たちの物語」をプライドセンター大阪で開催しました。ゲストには、李琴峰さん、水上文さん、三木那由他さんをお招きしました。当日の様子をお届けします。
事前お申し込みの時点で大反響のこちらのイベント、続々と参加者の方が集まってきました。まずは、センターに到着された参加者の方から、今回のテーマである、「自身にとって大切なクィア作品」をそれぞれ書き出してもらいました。
「あー分かる!」や「見たことないな~」といった声もちらほら聞こえ、最終的に80作あまりものタイトルがずらり。
ゲストトークでは、まず李琴峰さんより、この夏訪問されたアメリカ・アイオワ大学でのクィア・プライド関連の状況についてレポートしていただきました。学内のLGBTQ+支援の施設や取り組み、学生運動やその関連について、実際の写真や映像を交えて紹介してくださりました。ここでしか聞けない大変興味深い内容を聞くことができました。
次に、水上文さんより、カナダ・トロントのプライドパレードの様子と、国内における百合・BL作品の位置づけについてお話いただきました。中でも、クィア表象は当事者コミュニティの“共通言語”と言い表されたことが印象に残っています。
そして三木那由他さんからは、海外のコミックやゲームをおすすめしていただきました。知る人ぞ知るその魅力には惹きつけられるものがありました。まだ大衆的ではないアンダーグラウンドなコンテンツに触れる貴重な機会でした。
その後、15名の参加者の方と自由に交流する時間には、クィア作品についてはもちろん、日々考えていることや好きなものの話で盛り上がりました。普段なかなか周囲に分かってもらえない内容に終始共感するばかりでした。
和気あいあいとした雰囲気の中、名残惜しい様子でイベントは幕を閉じました。
李さん、水上さん、三木さん、そして参加してくださった皆様、楽しいお時間を本当にありがとうございました。センターには、ゲスト御三方の著作をはじめとする本や漫画がたくさん並んでいます。ぜひ気軽に足を運んでみてください!
■ゲストプロフィール(敬称略)
・李琴峰(り・ことみ)
作家・翻訳家。2017年、初めて日本語で書いた小説『独り舞』で群像新人文学賞優秀作を受賞し、作家デビュー。2021年、『ポラリスが降り注ぐ夜』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を、『彼岸花が咲く島』で芥川賞を受賞。クィアの人たちの生と性を描く作品群として知られる。他の著書に『星月夜』『生を祝う』などがある。
・三木那由他(みき・なゆた)
大阪大学大学院人文学研究科講師。哲学者。専門は分析哲学、特にコミュニケーションと言語の哲学。著書に『話し手の意味の心理性と公共性』(勁草書房、2019年)、『グライス 理性の哲学』(勁草書房、2022年)、『言葉の展望台』(講談社、2022年)、『会話を哲学する』(光文社新書、2022年)がある。
・水上文(みずかみ・あや)
1992年生まれ。文筆家・批評家。書評・文芸批評の執筆のほか、ジェンダー・セクシュアリティに関する論考の執筆やプロジェクトにも関わる。2022年「文學界」新人小説月評を担当。現在、「文藝」と丸善雄松堂「學鐙」で文芸季評を担当中。企画・編著に「われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット」(現代書館)。